離職率の計算方法と、定着のKPI設計|数字で育成を語る
離職率・定着率の正しい計算方法と、人材育成の成果を経営に説明するためのKPI設計を解説。感覚論でなく数字で語れる人事になるための基礎です。
「最近、人が辞めている気がする」。こうした感覚は大切な兆候ですが、経営の場で予算や施策を動かすには、数字で語る必要があります。本記事では、離職率・定着率の正しい計算方法と、育成の成果を経営に説明するためのKPI設計を解説します。感覚論から一歩進み、数字で育成を語れる人事になるための基礎です。
離職率・定着率の計算方法
離職率は、ある期間にどれだけの人が離職したかを割合で示す指標です。基本の式は次のとおりです。
離職率(%)= 期間中の離職者数 ÷ 起点時点の在籍者数 × 100
たとえば期首に200名が在籍し、1年間で16名が離職した場合、16 ÷ 200 × 100 で離職率は8%となります。定着率はその裏返しで、100%から離職率を引いた値、この例では92%です。
計算時の注意点
数字を正しく扱うために、いくつか注意点があります。
一つ目は、期間をそろえることです。一般に年間(年度)で見ますが、月次や四半期で算出する場合は単位を明確にし、他社や他期間と比べるときは同じ条件で揃えます。
二つ目は、母数の取り方です。起点時点の在籍者数で割る方法のほか、期間中の平均在籍者数を分母にする方法もあります。どちらを使うかで数値が変わるため、社内で定義を統一しておきます。
三つ目は、分子に何を含めるかです。定年退職や契約満了を含めるか、自己都合のみを見るかで意味合いが変わります。育成・定着の課題を見るなら、防げたはずの離職に絞って分けて見るのが有効です。
定着・育成のKPI設計
離職率は「結果」を表す指標です。しかし結果が出てからでは打ち手が遅れます。そこで、結果につながる手前の動きを測る「先行指標」と組み合わせます。
成果指標(結果を測る)
離職率・定着率、特に入社1年以内・3年以内の早期離職率が代表例です。育成投資が定着という成果に結びついているかを示します。
先行指標(プロセスを測る)
成果が出る前段階で観測できる指標です。たとえばオンボーディング完了率、上司との1on1実施率、エンゲージメントサーベイのスコア、研修受講後の行動変容などが挙げられます。これらが悪化していれば、離職率に表れる前に手を打てます。早期離職を抑える具体策は「早期離職を防ぐオンボーディング」で整理しています。
先行指標と成果指標をセットで持つことで、「施策(プロセス)→定着(結果)」の因果を数字で追えるようになります。
経営への説明の仕方
経営層に説明する際は、単年の数字だけでなく推移と比較を添えます。前年同期との変化、部門間の差、そして施策実施の前後でどう動いたかを並べると、育成投資の効果が伝わります。研修などの個別施策については「研修の効果測定」の手法で効果を切り出し、定着というKPIへの貢献として説明すると説得力が増します。
数字で語れる人事は、育成を「コスト」ではなく「投資」として経営に位置づけられます。KPI設計や数値の見方について相談したい方は、無料相談からお気軽にお問い合わせください。